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森と水…自然のやすらぎをきものに

どんな人にも自然になじみ、やさしい印象に仕上げてくれる作家・蒼舟のきもの。その深みのある色合いには、美しい自然への憧憬と染めへのこだわりが反映されています。
日本女性の肌に溶け込む檜の色合い
深みのある色合い、幻想的なグラデーション。作家「蒼舟」のつくる染めのきものは、着る人をやわらかく包み、やさしい印象に仕上げてくれます。この技法は「引き染め」という技法で、生地に染料を刷毛で塗り付けて染める方法のこと。長い生地を刷毛で染めていくため、着物一反分を均一に同じ色に染めるには、高度な技が必要です。引き染めは主にきものの地染めに使われる技法ですが、蒼舟は絶妙なぼかしの技で柄を描き、幽玄な雰囲気を表現しています。
不思議とどの年代にも、どんな雰囲気の方にも調和してしまうのが、蒼舟のきものの魅力。その秘密は下染めにヒノキを使っていること。ヒノキの木肌の色は日本人の肌と同系色で、ヒノキの皮を煎じて抽出した液を使うことで、日本人女性の肌に合う色調に染まるのです。
また、きものから漂う心地良い香りは、ヒノキから発散される天然成分によるもの。蒼舟はこの素晴らしいヒノキをきものに使えないかと本檜染めという技法を開発し、新しいきものの世界を表現したのです。
詳細

天然の植物精油により、人にやすらぎと活力をもたらしてくれるヒノキ。そんな自然の力をきものの世界に活かしたのが蒼舟。抗菌や消臭はもちろん、心地良い香りで着る人を包みます。

膨大な資料を参考に図案を起こします。工房では4人の伝統工芸士が手描き染めの技法で染め上げます。

功名が辻の山内一豊と千代をモチーフにした千代紙の帯の柄。
柔らかな色合いは故郷の水風景から
蒼舟のインスピレーションの源は、故郷・滋賀と琵琶湖にあると言います。「蒼舟」という作家名も、生まれ故郷で見た風景から名付けたものです。蒼舟の生まれた能登川町は、琵琶湖の水源となる地帯。鈴鹿山系の森林で育まれた豊かな水が注ぎ込み、集落の中には水路が張り巡らされ、稲や荷物を積んだ「田舟」と呼ばれる小さな舟が行き来していたと言います。また地域では、川の水を湖水と区別して「蒼い水」と呼んでいたそう。子供時代に目に焼き付けられた豊かで美しい水の流れ…蒼舟が表現する淡くやさしい染めのグラデーションは、そんな日本の水風景が源となっているのです。
本檜染めにこだわるのも思い描いたイメージをきもので表現するため。原料となるヒノキを探し、煮立てたり、砕いたり…何回もの試行錯誤を重ね、細かく砕いたヒノキの樹皮をアルカリ水で煎じ、これを6回繰り返した煎汁を下染めの原液にするという方法にたどり着きました。この後、アルミなどの触媒剤を使って地色を出し、最後に仕上げの引き染めを行うと、何とも言えない深みのある色と優しい風合いが出るのです。この手法で最初に描いたのは、やはり「琵琶湖八景」でした。
現在、展示会や販売会などで全国津々浦々を訪れることの多い蒼舟。必ずカメラを持参し、日本各地の風景を撮影しているそう。美しい風景からインスピレーションを得て、新たなものづくりへの意欲を新たにしています。
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